■ クレーム対応に脇を締める
私どもへのご相談の多くは、人事に関する問題です。採用方法から、解雇のやり方まで、さまざまです。また、最近多くなってきた相談が、患者さんへの対応です。対応と言っても、接遇や患者サービスではなく、「招かざる患者」いわゆるクレーマーへの対応です。
クレーマーへの対応の第一人者に、関根眞一さんといわれる方がおられます。『となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術』『「苦情学」クレームは顧客からの大切なプレゼント』などの著者というと、お判りかと思います。関根氏は、西武百貨店を退職後、「NPO法人歯科医療情報推進機構」の事務局長をされ、歯科界にもかかわりの深い方です。先ほどの著書にも、歯科に関する記事が多くあり、大いに参考になると思います。
関根氏の著書を読んでいますと、クレーマーには、2つのタイプがあることがわかります。相手が困るのを面白がる「愉快犯型」と、結果として金品を求める「要求型」です。「要求型」とはゆすり、たかり、恐喝等ですので、もう犯罪の世界です。これには、ひとりで対応せず、歯科医師会、弁護士、時には警察などの協力で、断固とした対応をしていかないければいけません。
問題なのが「愉快犯型」です。関根氏の著書の中に、「百貨店に働く関根さんたちは超エリートの人間に見えるんだよな。だから癇に触る言葉には、異常に反応したくなる。」という、ヤクザの言葉があります。信じがたいですが「百貨店で働くやつは許せない」といった感情持っている人間も、世の中にはいるということです。
「ベンツは家の前には置かないようにする」ということが、よく言われます。「歯医者だから許せない」なんて思う人間も、世の中にはいるという前提で考えることも、「招かざる患者」クレーマー対策からも必要なのかも知れません。
関根氏は、8つのクレーマー対応法を述べています。これは、院長だけが「聞いたことがある」「わかっている」では、意味がありません。スタッフ全員が熟知しておかないと、意味がないのです。特に、勤務医やベテランスタッフなどは過去の経験を押し付けて解決しようとし、問題が深くなることがあるので要注意です。
1.非があれば、真摯な対応で謝罪する
2.お客様の申し出は、感情を抑え素直に聞く
3.正確にメモをとる
4.説明は、慌てず冷静に考えてする
5.現場を確認する
6.対応は迅速にする
7.一般の苦情客を、クレーマーに仕立てない
8.苦情対応は平等に
患者は明らかに変化してきています。歯科への来院患者だけでなく、「モンスターペアレント」がドラマになるくらいですから、社会現象といってもいいかも知れません。人格障害者が世の中に増えてきているそうです。聞いた話では、100人に4人は人格障害者なのだそうです。
「一生懸命仕事しているんだけど、なぜこんな患者がうちに来るのか?」と悩まないでください。しなければいけないのは、世の中に100人中4人の確率で当然のように存在する「招かざる患者」へ、歯科医院を守るためにいかに対応するかを、事前に理解しておくことなのです。
(先ほどの8つのクレーマー対応法は、スタッフへの対応法にもなりますよね)
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>(*^_^*)b < 編集後記 ♪♪♪
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先日、近くのスーパーに買い物に行くと「徳島産うなぎ」が多く売れ残っていました。こうなると「中国産うなぎ」と書いたほうが、安心して買っていくようにさえ思います。今日も鶏肉の産地偽装が報道されていましたが、何でもありという食の世界にはびっくりです。
今回の「招かざる客」クレーマーは、排除すべきですが、排除した後の「招くべき客」には、精神誠意尽くすことが大切になってくる、そのことが、もっと問われる世の中になるように思いました。
追伸
8月24日(日)エソール広島で、広島国際大学 准教授 常松玲子先生による、スタッフ教育(接遇や言葉遣い、社会人としての心構えや行動を教えていただけます。)のセミナーを実施します。詳細は『広歯月報』7月号と、このメ-ルに添付してあります。多くの方のご参加をお待ちしています。